【春草展示第37期】ミニ解説③9月16日は春草忌です

9月16日は、明治日本画の革新者、菱田春草の没日です。今年は没後111年。


所家合作《月夜》
明治44年(1911)9月17日
個人蔵 当館寄託

現在開催中の菱田春草記念室の展示「菊慈童に迫る―春草と朦朧体―」では、春草の通夜の席での作を出しています。

春草が満月のみを描いていた未完成の絵絹に、通夜に参列した横山大観、下村観山、木村武山、川合玉堂、寺崎広業がそれぞれに描き加えました。画賛は、笹川臨風と斎藤隆三が書いています。仲間と共に研究と革新の画業を歩んだ春草の、最後の共作となった作品です。

 

菱田君の如きは各時代に僅少なる、即ち美術界に最も必要なる人物の要素を備へて居た人である。斯る要素を備へて居る人は未だ若い不熟の中から判るものである。菱田君の如きも殆ど美術学校二年生の時分から此特質が見えて居た。不熟のうちからと言ったが、菱田君は或る意味に於て今日でも未だ不熟であつたかも知れぬ。或いは終生不熟なのだらう。(岡倉天心「噫菱田春草君」)

本作の展示は10月2日まで。ぜひご覧いただき、春草を想う機会となれば幸いです。

(菱田春草記念室担当)

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