5/24の観望会のターゲットだった、月・水・金のトライアングルの画像をご紹介します。
※ビデオカメラの1シーンなので、あまり画質はよくありませんが、ご了承ください。
星はいつでも同じように見えるというイメージがある方も結構多いのですが、月も金星も水星も動きがはやく、毎日どんどん位置がかわります。(5/22は金星と水星がほぼ並んでいました。)
こうした変化を見るのも、星を見る楽しみなんですね~。
吉住千亜紀(プラネタリウム担当)
5月21日に約1ヶ月半ぶりに再開した飯田市美術博物館ですが、また今週から6月5日まで燻蒸作業と展示準備のための臨時休館に突入してしまいました。
燻蒸作業は、作品や資料についた害虫やカビを取り除く重要な作業で、年に一度定期的に行っています。
さて今日紹介するのは、南アルプス北部、伊那市長谷の有名な石灰岩「白岩(しらいわ)」で、戸台川の左岸にそそり立つ岸壁です。
上の写真の中央左下に見える灰色の崖が白岩で、上部を南アルプス林道が横切っています。
背景の雪嶺は、南アルプスの名峰、仙丈ケ岳(3033m)です。
白岩は希少植物の宝庫として古くから有名で、シライワシャジンやシライワコゴメグサなど、白岩の名を冠した植物が自生しています。またカワラウスユキソウも、この地域の石灰岩地に固有です。
伊那谷の生物多様性を支えている最も大きな要因は、2900mの標高差が作り出す環境の違いですが、南アルプスの中腹に分布する石灰岩や蛇紋岩のような特殊な性質を持った露岩地の存在も忘れてはなりません。
自然トピック展示「南アルプス石灰岩地の希少植物」
2020年6月16日(火)~
四方圭一郎(生物担当)
来月13日からはじまる展覧会の準備をしております。
特別陳列「日夏耿之介とともにめぐる飯田の町」という展覧会です。
この期に及んで展示物がなかなか決まらず、ときどき収蔵庫で腕組みしながら唸っております。
書物と違い、展覧会はいくらシナリオが立派でもそれに見合った展示物が並ばなければツマラナイもの。その逆も然り(名品展は別かな?)。
さて、今度の展覧会は展示物もシナリオもマニアック。世界中のビブリオフィリア(書物崇拝狂)のうち5~6人が泣いて喜ぶようなディープな展示にしたいと担当者的には思ったりもするわけですが、そうは問屋が卸さんでしょうな。
そんなことを考えながら、期日までになんとか展覧会を作り上げねば、と日々悩んでおります。
(人文担当 織田顕行)
プラネタリウムは本日より投影再開!
定員30名、10:00~11:00と13:00~14:00の2回、内容もチラシ等から変更して投影しています。しばらくはご不便をおかけしますが、みなさまのご理解・ご協力をお願いします。
さて、TVの天気予報でも紹介されていたようですが、夕方の西の空で金星と水星が接近して見えています。
一番接近したのは昨日22日ですが、曇り空で見えませんでした。見た方はいらっしゃいますか?
ということで、プラネタリウムの解説でも紹介しました。プラネタリウムだと写真のよう(明るい方が金星、すぐ左上に水星)ですが、実際はもっときれいです。
金星は地球から見るとどんどん太陽と近くなっていて、6月4日に内合(太陽―金星―地球と並ぶ)を迎え、その後は夜明け前の東の空で見えるようになります。
水星は太陽にもっとも近い惑星で、地球から見ると太陽とあまり離れないため見るのが難しい惑星ですが、6月4日が東方最大離角(太陽からもっとも離れて見える)になり、その前後が見るチャンスです!
暗くなると、春の星座も勢ぞろい。不安定な天気が続いていますが、晴れたらぜひ、夜空を眺めてみてください。
幻になりそうだったコレクション展示「新時代の造形3-昭和・平成世代の日本画」は、本日より4日間の会期で公開できることになりました。当初の予定はゴルーデンウィーク期間を含めた37日間でしたので、かなりの短縮となります。それでも展示はしたものの一度も公開できなかったという事態はまぬがれました。少しホッとしています。
さて、最終回の今日は仲村進の作品についてご紹介します。仲村進は松尾の出身の日本画家です。国民学校高等科を卒業した後、満蒙開拓少年義勇軍に志願し旧満州で開拓に従事しました。太平洋戦争末期にソ連軍が開拓地に進駐したため退去を余儀なくされ、過酷な逃走の末、本土に帰還しました。戦後は郷里に帰って農事にいそしみながら日本画を描きました。
今回の展示では、仲村が画壇にデビューした当時の初期作品二点を展示しています。《郷愁》は、第23回新制作協会展に入選した作品です。仲村は高山辰雄の指導を受け日展で活躍した画家ですが、初期には創造美術を期限とする新制作協会日本画部へ出品していました。日展での仲村の重厚な作風とはかなり違い、色彩に富んだ軽やかなイメージの作品です。
一方の《陶工》は、第9回新日展に初入選した作品です。ここでは師の高山辰雄が展開した厚塗りの作風が見て取れます。日本画の顔料を立体的に厚く塗る技法は、戦後、日展を中心に流行しました。この作品には三人の人物が描かれていますが、実は同一人物です。モデルは仲村の友人の陶芸家・水野英男で、登り窯で作品を焼く時の異なった動作をひとつの画面で表現しています。寝ずの番をする窯焼きの長い時間が絵の中に流れています。
槇村洋介(美術担当)
長野県の緊急事態宣言が解除され、ようやく光明が見えはじめました。しかし絶対的なコロナウィルス制圧に成功したわけでもなく油断は禁物です。引き続き日常生活の衛生に注意を払っていきたいものです。
さて、幻になるかもしれない展示として、館蔵品によるコレクション展示「新時代の造形3-昭和・平成世代の日本画」について取り上げましたが、21日の木曜日から美術博物館を開館することになりました。展示とプラネタリウムについては人数制限や衛生管理を行って公開をします。ただ、講座や講演会についてはもう少し先延ばしになりそうです。
さて、今日は棚田泰生の作品についてご紹介します。棚田泰生は下市田の出身の日本画家です。少年期に事故に遭い背骨を傷めて後遺症が残ってしまい、進学を断念して日本画家の道を歩みました。東京へ出て画を描きはじめますが、太平洋戦争の戦況が悪化して一旦帰郷します。戦後、飯田を訪れた日展作家の中村正義の影響を受け、新しい時代の日本画を模索していきました。
今回は二点の作品を対面に配置して展示しています。一点は第3回創造美術展に初入選した《街はずれ》です。泰生のデビュー作ともいえる作品で新しい造形へ向かおうとする初々しさを感じさせます。
もう1点は日展で初めて特選となった《潜像》です。《街はずれ》の対面の奥まった壁面に1点だけ飾っています。空間に入るとあざやかな黄色の色彩が目に飛び込んできます。アイヌの民俗衣装を纏った男性の姿を中心に、背景には植物を装飾的描いています。独特の雰囲気を持った人物を正面から見せる構図に強さを感じます。中村正義の元でともに学んだ大森運夫と北海道へ取材旅行を行い、その成果が現れた作品です。
槇村洋介(美術担当)
この度の新型コロナウィルスにともなう休館の影響で、一度も開室できずに終了してしまいそうな展示があります。館蔵品によるコレクション展示「新時代の造形3-昭和・平成世代の日本画」です。
この展示では、地域出身の日本画作家である棚田泰生、仲村進、滝沢具幸の3人を取り上げました。出品作品は5点と非常に少ないのですが、それぞれの作品と1対1で向き合えるように配置しています。館蔵品ならではの少し実験的な意図を持った展示です。
会期は、5月24日(日)までなので、それまでに開館する可能性も残していますが、幻に終わってしまうかもしれず、せめてWeb上で作品をご紹介したいと思います。
まず展示室に入ると滝沢具幸《レクイエム》が目に入ります。この空間では正面にこの1点だけの展示です。人物を構成的に描いた日本画で、茶色を主体にして横たわる人物群、立っている(座っている人もいる)人物群がモチーフの主体です。上方の背景には白や箔により山岳のような形が描かれています。
この作品が描かれる前、大きな出来事がありました。作家の友人が突然倒れられたそうです。場所は山梨県の清里でした。作家が駆けつけてみると人工呼吸が施されている状態で、残念ながら帰らぬ人となられたようです。その時、清里の空にはなぜか多くのヘリコプターが飛び回っていました。実は日航機が御巣鷹山付近に墜落した日で、現場へ往来するヘリコプターだったようです。
作品の題名の《レクイエム》は鎮魂歌の意味、友人と航空機事故の犠牲者が重なっているのでしょう。背景の山のように見える三角形は天上に誘われる光のようなイメージでもあるようです。
槇村洋介(美術担当)