宇宙朝顔⑤ カエルさんも衣替え?

プラネタリウム ブログ

    

     8/6撮影                  10/2撮影

しばらく見なかったカエルさんが戻ってきましたが体の色が違います。夏は緑の葉なので緑色。今日のカエルさんはコンクリ―トの色で灰色になったのでしょうか?アマガエルにはよくあることで、この体色の変化の仕組みは別の学芸員さんに聞いていただくとして・・・

 10/2撮影

10月になり夜には布団が必要なくらい涼しくなりました。
朝顔もずいぶん葉の色が変わりました。(プラネタリウム係 Y・M)

【春草展示第37期】ミニ解説④《菊慈童》

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9月3日から、菱田春草記念室 第37期 菊慈童に迫る-春草と朦朧体-を開催しています。展示中の作品から、《菊慈童》をご紹介します。


菱田春草《菊慈童》
明治33年(1900)
長野県宝 飯田市美術博物館蔵

明治30年代に春草が取り組んだ空間表現研究の、初期の代表作です。「朦朧体」と呼ばれた、色彩を重ねたりぼかしたりして画面を構成し、輪郭線を用いない描法で奥行きの描出を試みています。

朦朧体の目的は、画面内に西洋美術から学んだリアリティをもたらすことにありました。本図では、前景から後景に向かって徐々に色彩を霞ませる「空気遠近法」を用いて、空間を描出しています。各所に色彩による空間表現の工夫を取り入れ、これによって、画面内に空間性・写実性を与えました。合わせて、東洋美術の古典を参照し、特に南宋の院体山水画のもつ空間性や気韻の表現も取り入れています。こうして新たな日本画を目指しましたが、当時の批評界からは斬新さゆえに批判が多く上がりました。

菱田春草記念室 常設展示 第37期 菊慈童に迫る-春草と朦朧体-は10月2日まで。若き春草の、空間表現の研究とその成果をご覧ください。

(菱田春草記念室担当)

子ども美術学校⑤写してみつけた私の世界(版画)/親子鑑賞会

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飯田下伊那の小学校4年生から6年生を対象とした絵画・工作の基礎講座、子ども美術学校。第5回目は「写してみつけた私の世界」がテーマ。スチレンボードを使った多色刷り版画に挑戦しました。


スチレンボードに、思い思いに模様を刻み、色のグラデーション・対比をたのしみながら不思議な世界をつくっていきます。


各自もってきた「おもしろい線を描けそうなもの」を使って、スチレンボードに刻んでいきます。



調和する色の組み合わせ、お互いを際立たせる色の組み合わせを考えながら、色をのせて刷っていきます。


色鮮やかな、それぞれの世界ができあがりました!!

***

造形活動の後は、本年度2回目の親子鑑賞教室。


「どんなものをみつけた?」「どんなことを感じた?」など、おうちの人とお話ししながら作品をたのしんでみてね、というレクチャーの後、菱田春草記念室で《菊慈童》を親子で鑑賞しました。


「大きな作品だね」「秋でちょっと寒そう」「上の方はどうやってかいているんだろう」「どうして一人なんだろう」と、親子で話をしながらじっくり作品を鑑賞することができました。

(美術部門:菱田春草記念室担当)

【春草展示第37期】ミニ解説③9月16日は春草忌です

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9月16日は、明治日本画の革新者、菱田春草の没日です。今年は没後111年。


所家合作《月夜》
明治44年(1911)9月17日
個人蔵 当館寄託

現在開催中の菱田春草記念室の展示「菊慈童に迫る―春草と朦朧体―」では、春草の通夜の席での作を出しています。

春草が満月のみを描いていた未完成の絵絹に、通夜に参列した横山大観、下村観山、木村武山、川合玉堂、寺崎広業がそれぞれに描き加えました。画賛は、笹川臨風と斎藤隆三が書いています。仲間と共に研究と革新の画業を歩んだ春草の、最後の共作となった作品です。

 

菱田君の如きは各時代に僅少なる、即ち美術界に最も必要なる人物の要素を備へて居た人である。斯る要素を備へて居る人は未だ若い不熟の中から判るものである。菱田君の如きも殆ど美術学校二年生の時分から此特質が見えて居た。不熟のうちからと言ったが、菱田君は或る意味に於て今日でも未だ不熟であつたかも知れぬ。或いは終生不熟なのだらう。(岡倉天心「噫菱田春草君」)

本作の展示は10月2日まで。ぜひご覧いただき、春草を想う機会となれば幸いです。

(菱田春草記念室担当)

【春草展示第37期】ミニ解説②西郷孤月《蓬莱》

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9月3日から、菱田春草記念室 第37期 菊慈童に迫る-春草と朦朧体-を開催しています。展示中の作品から1点ご紹介します。


西郷孤月《蓬莱》
明治33年(1900)
飯田市美術博物館蔵

本作は、伝統画題の蓬莱山を、金銀泥を多用しつつ陰影を施した新しい表現で描きます。美術院内で作家同士で意見交換を行う、絵画研究会に出品した、実験性の強い意欲作です。この時期の、新たな日本画を目指す表現の工夫の1つとして「光を描く」ことに挑戦していました。金銀を多用する表現は、批評界から「金銀体」という言葉で批判も受けますが、朦朧体の画風にも用いられました。

菱田春草記念室 常設展示 第37期 菊慈童に迫る-春草と朦朧体-は10月2日まで。若き春草の、空間表現の研究とその成果をご覧ください。

(菱田春草記念室担当)

【春草展示第37期】ミニ解説①《秋溪》

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9月3日から、菱田春草記念室 第37期 菊慈童に迫る-春草と朦朧体-を開催しています。展示中の作品から1点ご紹介します。


菱田春草《秋溪》
明治33年(1900)頃
飯田市美術博物館蔵

本作は、春草が空間表現の研究をはじめた時期の作品です。手前の岩肌や鳩は、狩野派の筆法をかんじますが、空間表現には新たな挑戦があります。これまでの日本美術で重要視されていた線描をなくし、手前から奥へと色彩をぼかして淡く霞ませ、空間を描き出しています。この表現により本作は静寂な秋の気配を伝えていますが、斬新さと不明瞭さゆえに「朦朧体」などと批判を受けました。

菱田春草記念室 常設展示 第37期 菊慈童に迫る-春草と朦朧体-は10月2日まで。若き春草の、空間表現の研究とその成果をご覧ください。

(菱田春草記念室担当)

【春草展示第36期】ミニ解説④《富嶽》

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7月30日から、菱田春草記念室 第36期展示 彩の魅力-春草の色彩表現-を開催しています。展示中の作品から1点ご紹介します。


菱田春草《富嶽》
明治41年(1908) 飯田市美術博物館蔵

輪郭線を用いない朦朧体の画風をとりますが、色彩の濁りはなく、色鮮やかな色彩が特徴の作品です。海には青色を点描でのせ、松のふちには濃い緑色を重ねます。米欧遊学後、印象派や色彩論を研究していた時期の特徴が表れた作品です。
本作は春草の弟・唯蔵の結婚祝いに贈ったもので、三保の松原と富士という伝統画題を描いています。縁起の良い、穏やかな風情を示しています。

菱田春草記念室 常設展示 第36期 彩の魅力-春草の色彩表現-は8月28日まで。春草の色の探求をぜひご覧ください。

(菱田春草記念室担当)

子ども美術学校④ゆかいな動物(陶芸)

ブログ 今日の美博

飯田下伊那の小学校4年生から6年生を対象とした絵画・工作の基礎講座、子ども美術学校。

第4回目は「ゆかいな動物」がテーマ。陶芸に挑戦しました。


まずは先生が粘土の扱い方を実演。粘土で作ったものを焼くことになるので、割れないようにするためのコツも伝えます。分厚く、そして空気の通り道を作ることが大事とのこと。

いよいよつくりはじめます。
粘土はひんやり冷たい!そしてかたい!

こねていきながら、自分のつくりたいゆかいな動物の形を目指します。


ちぎってこねて、のばして作った輪っかを重ねて。高さを出していきます。


大体の形ができたら、へらやくしをつかって表情をつけていきます。


ゆかいな動物たちができました!焼き上がりが楽しみです。

※本記事で使用した写真の一部は、本年度博物館実習生が撮影しました。

(美術部門:菱田春草記念室担当)

【春草展示第36期】ミニ解説③《帰樵》

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7月30日から、菱田春草記念室 第36期展示 彩の魅力-春草の色彩表現-を開催しています。展示作品から1点ご紹介します。


菱田春草《帰樵》
明治39年(1906) 飯田市美術博物館蔵

本作は、米欧遊学後、色彩研究に進んだ時期の作品です。茜色に染まる夕陽を背景に2人が家路につく光景を描いています。丘陵の稜線は、輪郭線を用いずに、色を重ねてぼかす表現をとっています。また、夕焼けの空はグラデーションを用いて光を描き、空間をあらわします。全体に澄んだ色彩を用いて描いたことで、画面の明るさの確保に成功している本作は、朦朧体のひとつの完成形といえます。春草の朦朧体研究、そして色彩研究の成果があらわれている作品です。

2人の人物は、点景(風景画に趣をだすために小さく描いた人物や動物)のように描いていますが、かなり細かな描写が確認できます。青色を基調とした衣服が、暖色の画面に抑揚をつけています。一部には淡い輪郭線を用いて描きます。仕事を終え、家路につく2人の姿はあたたかい会話を想起させ、叙情性を加えています。
手前にある桜と思しき花は、筆跡のみえる点描風の表現を用いています。外遊後の春草が、西洋の色彩理論に基づいた配色と、印象派の表現に倣った点描表現を、自身の作品に取り入れている一例です。

菱田春草記念室 常設展示 第36期 彩の魅力-春草の色彩表現-は8月28日まで。春草の色の探求をぜひご覧ください。

(菱田春草記念室担当)

【春草展示第36期】ミニ解説②《霊昭女》

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7月30日から、菱田春草記念室 第36期展示 彩の魅力-春草の色彩表現-を開催しています。展示中の作品から1点紹介します。


菱田春草《霊昭女》
明治35年(1902) 飯田市美術博物館蔵

本作の背景は略され、淡い色を重ねたグラデーションのみです。輪郭線は用いず、明瞭な色面の濃淡で陰影をはっきり描き、立体感を伝えます。また光の当たる部分にはハイライトを施しており、人物像については写実性を強めた表現になっています。中国古典から画題をとり、姿だけでなく心も清らかな女性を澄んだ色彩で描き出しています。日本美術院内の研究会に出品した作で、画家仲間たちから画題の選択から描き方まで高評価を受けたようです。

菱田春草記念室 常設展示 第36期 彩の魅力-春草の色彩表現-は8月28日まで。春草の彩をぜひご覧ください。

(菱田春草記念室担当)