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 ■■■地形・地質観察ガイド-低山・渓谷地域-■■■
 尾高山と御池山 しらびそ峠〜尾高山、御池山〜中郷お池
 
 奥茶臼山から南西にのびる尾根上に尾高山(2212m)と御池山(1905m)がある。この尾根からは、深く切れ込んだ北又沢をはさんで、主稜線の山々を正面にみることができる。とくに、大沢岳から兎岳にかけての凹凸に富んだ主稜線がみごとだ。主稜線と対峙するように、ここに2000m級の尾根ができたのは、秩父帯の固いチャートや砂岩が侵食に抵抗し、仏像構造線に沿って北又沢が大地を深く削り込んだからだ。しらびそ峠から下栗にかけての林道ができているので、二つの山とも簡単に登ることができる。尾高山はしらびそ峠から美しい針葉樹林帯の中の道をたどる。御池山は明るい雑木林とササ原の中を歩く。途中に、西へ少し降りると、線状凹地にできた神秘的な中郷お池につく。

■程野お池としらびそ峠

■原生林とコケが美しい尾高山遊歩道

■御池山の線状凹地

■御池山クレーター 

▲尾高山からみた原生林と奥茶臼山
 


 

■程野お池としらびそ峠 

 程野から林道をどんどん登り、地蔵峠への道を分けてさらに登ると、造林小屋の手前から程野お池へ降りる遊歩道がでてくる。程野お池は湧水で満たされた自然の池だ。池のまわりは雑木林となっている。
 しらびそ峠で林道は二つに分かれる。一つは御池山の山腹を経由し下栗へ降りる道、もう一つは北又沢上流をぐるりとまわり、大沢岳の山裾まで行く林道。ただし、この林道は途中から廃道となっている。
 しらびそ峠からは大沢岳の展望が抜群だ。残念なことに、赤石岳は大沢岳の背後に隠れてしまってみえない。赤石岳をみるには尾高山方面へ登る必要がある。
 
 
▲しらびそ峠から南アルプス

■原生林とコケが美しい尾高山遊歩道

 尾高山への登り口は稜線の西側にある。尾高山までは歩きやすい遊歩道ができていて、2時間ほどでたどりつける。背の低いササ原から、しだいに原生林とコケが美しい道となる。
 山頂にはチャートの岩塊が重なり、周囲には樹木がしげっていて、展望はよくない。山頂から北西へいくと、北や東の好展望が得られる。
 
▲ササと原生林の中の遊歩道

■御池山の線状凹地 

  しらびそ峠からエコーラインと名づけられた林道を南下すると、林道沿いに縞模様の発達したチャートの露頭がでてくる。このチャートからはコノドント化石がみつかっていて、三畳紀中期の地層とされている。
 しらびそ山荘やオートキャンプ場を経てさらに3kmほど南下すると、左手に平坦地が現れる。ここからすぐ西側の稜線に、林道と平行する歩道があり、これをたどると、二等三角点のある御池山につく。
 歩道の西側には北東−南西方向の線状凹地がいくつもできていて、たいへん複雑な地形となっている。巨礫がゴロゴロしている窪地もあれば、コケが敷きつめられた平坦な窪地もある。この地形は、山体を崩していく地すべり性の正断層活動によるものだ。
 御池山の手前から西へ降りると、中郷お池がある。この池は、線状凹地に湧水がたまってできたものだ。稜線直下で水をたたえる姿は、昔から信仰の対象となってきたのだろう。池のほとりに小さな祠がたっている。
 
▲線状凹地にできた中郷お池

■御池山クレーター 

 御池山への遊歩道が直径1km弱のきれいな弧を描いている。最近、この地形は、隕石孔(クレーター)だという考えが、坂本正夫氏からだされた。付近の土壌中から衝撃でできたインパクトガラスや石英粒子の変形ラメラがみつかっていて、これが隕石孔の証拠とされている。 
▲チャート巨石が点在する御池山