飯田市 藤本四八写真文化賞 歴代受賞作品紹介

第5回

[推薦の部] 写真文化賞
「地球巡礼」野町和嘉

[公募の部・一般] 写真文化賞
「ある女子高校の学校生活」若尾秀次

[公募の部・一般] 奨励賞
「穂高1500mの水」和田直樹

第1回

[推薦の部] 写真文化賞
「日本の民俗」芳賀日出男

[公募の部・一般] 写真文化賞
「水、緑、そして人間」宮島功

[公募の部・一般] 奨励賞
「終(つい)の情景」南島孝

第2回

[推薦の部] 写真文化賞
「雲上の神々」小松健一

[公募の部・一般] 写真文化賞
「遠(おん)の情景」南島孝

[公募の部・一般] 奨励賞
「森の詞(ことば)」飯田弘道

第3回

[推薦の部] 写真文化賞
水谷章人

[公募の部・一般] 写真文化賞
「沖縄2000」田頭とみい

[公募の部・一般] 奨励賞
「とどまる花たち」南島絵里子

第4回

[推薦の部] 写真文化賞
「巡る楽園・四国八十八ヶ所から高野山へ」三好和義

[公募の部・一般] 写真文化賞
「隔たりのリズム」南島絵里子

[公募の部・一般] 奨励賞
「じいちゃんの田んぼ−讃岐 高松−」寒川真由美

第6回

[推薦の部] 写真文化賞
「天地聲聞」ほか 竹内敏信

[公募の部・一般] 写真賞
「僧貌」大橋紀雄

[公募の部・一般] 市民奨励賞
「体温(ぬくもり)」大原悦子

[公募の部・小学生] 奨励賞
「はじめての雪遊びだ“ワン”」三浦幸輝くん
「雪の天龍峡」木下拓也くん

第7回

[推薦の部] 写真文化賞
「稲淵 菜の花」ほか 井上博道

[公募の部・一般] 写真賞
「Nature-mind−命の瞬き−」岡田勤

[公募の部・一般] 市民奨励賞
「いやんばいで」筒井政美

[公募の部・小学生] 奨励賞
「大火から生き残った歴史」斉藤天
「おんべ」三浦幸輝
「燃えろよおんべ」高根太朗
「ぼくたち、カメラマン」大内健瑠

[公募の部・中学生]該当無し

[公募の部・高校生]
「棄てられているものたち」熊谷翔太

第5回
[推薦の部 写真文化賞] 
「地球巡礼」野町和嘉


 1946年高知県に生まれる。

 高校時代に父親からキャノネットを買ってもらったことが、写真をはじめるそのもののきっかけだった。高3のとき初めて県展に応募し入選するなど、写真の面白さにのめり込んでいった。

 一旦、就職し、その後本格的に写真を目指すべく、1969年、写真家の杵島隆氏に師事。1971年にフリーとなり、はじめは広告写真をやっていたが、翌年25歳のときサハラ砂漠に旅し、 大地のスケールとそこに生きる人々の強靱さに魅せられたことがきっかけとなって、ドキュメンタリー写真に入ってゆく。

 ナイル、エチオピアメッカ、チベットといった辺境、異文化の地を撮り続けてきた。これまで20冊以上の写真集を出版しているが、そのうち8冊は海外で編集され、5〜9カ国版で広く出版されており、土門拳賞をはじめとして内外の多くの賞を受けている。

 野町の写真は、現代文明の恩恵に浸かった現代人には、とてつもなく異次元の世界に見える。それらはドキュメントであると同時に、作品の中に静謐な時間が流れ、一枚一枚がアートといってよい美しさを持っている。

 心静かに染み入り、深く語りかけ、考えることを要求する作品群なのである。

 

 野町は長年にわたり人間の祈りと大地をテーマに世界各地を駆け巡り、世界にその作品の発表を続けている名実ともに国際的写真家である。今回の受賞対象となった『地球巡礼』は、イスラムの聖地を始め、主に世界各地の宗教の聖地を訪ねたもので、メッカ巡礼をするイスラム教の信徒、サハラ砂漠の厳しい自然の中で先祖伝来の生活文化を守り続ける民族、極限の高地で、ひたすら仏教を信じつつ生きるチベットの人びと、ダナチル砂漠の酷暑の中で塩湖から塩を採掘する人たち。また、南米アンデスの高原で、ひたすらキリスト教を信じて生きるインカ帝国の末裔。エチオピアのコプト教の厳しい修行をする修道士の姿等々、どれ一つとして簡単に撮影をゆるされるものではない。これらのテーマを30年間にわたり取材を重ねてきた成果を500頁を越える力作で綴っている。まさにすばらしいドキュメントであり芸術性も高い。よって藤本四八賞を贈ることを満場一致で推薦した。

選考委員 田沼武能