飯田市 藤本四八写真文化賞 歴代受賞作品紹介

第5回

[推薦の部] 写真文化賞
「地球巡礼」野町和嘉

[公募の部・一般] 写真文化賞
「ある女子高校の学校生活」若尾秀次

[公募の部・一般] 奨励賞
「穂高1500mの水」和田直樹

第1回

[推薦の部] 写真文化賞
「日本の民俗」芳賀日出男

[公募の部・一般] 写真文化賞
「水、緑、そして人間」宮島功

[公募の部・一般] 奨励賞
「終(つい)の情景」南島孝

第2回

[推薦の部] 写真文化賞
「雲上の神々」小松健一

[公募の部・一般] 写真文化賞
「遠(おん)の情景」南島孝

[公募の部・一般] 奨励賞
「森の詞(ことば)」飯田弘道

第3回

[推薦の部] 写真文化賞
水谷章人

[公募の部・一般] 写真文化賞
「沖縄2000」田頭とみい

[公募の部・一般] 奨励賞
「とどまる花たち」南島絵里子

第4回

[推薦の部] 写真文化賞
「巡る楽園・四国八十八ヶ所から高野山へ」三好和義

[公募の部・一般] 写真文化賞
「隔たりのリズム」南島絵里子

[公募の部・一般] 奨励賞
「じいちゃんの田んぼ−讃岐 高松−」寒川真由美

第6回

[推薦の部] 写真文化賞
「天地聲聞」ほか 竹内敏信

[公募の部・一般] 写真賞
「僧貌」大橋紀雄

[公募の部・一般] 市民奨励賞
「体温(ぬくもり)」大原悦子

[公募の部・小学生] 奨励賞
「はじめての雪遊びだ“ワン”」三浦幸輝くん
「雪の天龍峡」木下拓也くん

第7回

[推薦の部] 写真文化賞
「稲淵 菜の花」ほか 井上博道

[公募の部・一般] 写真賞
「Nature-mind−命の瞬き−」岡田勤

[公募の部・一般] 市民奨励賞
「いやんばいで」筒井政美

[公募の部・小学生] 奨励賞
「大火から生き残った歴史」斉藤天
「おんべ」三浦幸輝
「燃えろよおんべ」高根太朗
「ぼくたち、カメラマン」大内健瑠

[公募の部・中学生]該当無し

[公募の部・高校生]
「棄てられているものたち」熊谷翔太

第5回
[公募の部・一般 写真文化賞]
「ある女子高校の学校生活」若尾秀次



受賞作品小論文


ある高等学校が舞台である。
 女子教育にずっと専念していた学校だった。
 平成17年3月にひっそりと幕を閉じた。
 その学び舎の中では、生徒たちが落ち着いた生活をしていた。現在ある多くの教育現場とは、やや違ったものがあった。
 春になると新入生を迎え入れ、それぞれ教員も緊張しながら、共同の生活が始まった。  
 同じ階のフロアを、3年生を中心としたクラス配置での生活が始まった。
 そうすることにより、1年生が早く学校生活に慣れるようにとの配慮だった。また、見習ってもらえるだけの上級生の生活態度であった。それが裏目に出ることは皆無に近く、3学年による生活が行われていた。
 掃除は、日に3回行われていた。朝掃除、昼掃除、放課後の掃除。放課後の掃除は着替えて行った。教育の場にふさわしいきれいな学び舎だった。
 埃のない、黒板がきれいな教室だった。教卓にはおしぼりが用意されていた。
 その中で、家政科を学んでいる生徒たちだった。実技教科を中心して、技術・知識を身につけ、母として社会人として活躍の基盤を育てる所だった。 
 毎年、沢山の卒業生を送り出してきた。大変な世の中を生き抜いている卒業生たち。その卒業生たちの母校は、今はない。教職員も今はいない。
 自由、自由と個性の尊重を謳いあげ、ゆとり教育の重視、学力の向上、授業時間の確保など沢山の矛盾するものを追い求める現在の教育現場では、分かりづらいかもしれない。
 終焉した、この学校の生徒をもう一度見つめ直すことで、これからの私自身の生き方や学校のあり方を考えてみたいと思った。 
 全てが良かったなどとは決して思わないが、大切な学校教育の基礎基本がそこにはあったのではないかと思う。
 生徒や保護者の同意がなければ教育は成り立たないが、それを偏重してしまうと、一貫した教育は成り立たないと思った。
 あの生徒たちに、もっと社会に触れさす機会を沢山作ってあげられたらと思った。もっと学習をさせられたらと思った。もっともっと自分に自信を持たせられたらと思った。
 その現場にいた一教員が、言うのもおかしいがあえて伝えたい。 
 真面目な生徒たちであった。
 立派だった。 
 卒業後、少しでも幸多い生活を送っていることを願いたい。厳しいと言っていた生徒が、もっと厳しい社会に出て頑張っていてくれていればと思う。道を誤らずに、騙されずに、うまくでなくていい、しっかりと生活をしていって欲しい。
 これらのものを思い出として、大切に傍らに置いていこう。




閉校と決まった最後の生徒たちを一年間にわたり克明にドキュメントにした作品であり、テーマもよいが、そこに登場してくる高校生たちの明るい高校生活が映されており、撮影者である先生と生徒との信頼関係の結晶が、このすばらしい学校生活の作品を完成させたのだと思う。新聞の社会面に登場する高校生は、問題児が多いが、こんなに明るい高校生活をおくっている少女たちもいるということを、たくさんの人たちに見て欲しい。生徒たちにとっても、人生の門出のすてきな贈りものになることと確信する。

選考委員 田沼武能