飯田市 藤本四八写真文化賞 歴代受賞作品紹介

第7回

[推薦の部] 写真文化賞
「稲淵 菜の花」ほか 井上博道

[公募の部・一般] 写真賞
「Nature-mind−命の瞬き−」岡田勤

[公募の部・一般] 市民奨励賞
「いやんばいで」筒井政美

[公募の部・小学生] 奨励賞
「大火から生き残った歴史」斉藤天
「おんべ」三浦幸輝
「燃えろよおんべ」高根太朗
「ぼくたち、カメラマン」大内健瑠

[公募の部・中学生]該当無し

[公募の部・高校生]
「棄てられているものたち」熊谷翔太

第1回

[推薦の部] 写真文化賞
「日本の民俗」芳賀日出男

[公募の部・一般] 写真文化賞
「水、緑、そして人間」宮島功

[公募の部・一般] 奨励賞
「終(つい)の情景」南島孝

第2回

[推薦の部] 写真文化賞
「雲上の神々」小松健一

[公募の部・一般] 写真文化賞
「遠(おん)の情景」南島孝

[公募の部・一般] 奨励賞
「森の詞(ことば)」飯田弘道

第3回

[推薦の部] 写真文化賞
水谷章人

[公募の部・一般] 写真文化賞
「沖縄2000」田頭とみい

[公募の部・一般] 奨励賞
「とどまる花たち」南島絵里子

第4回

[推薦の部] 写真文化賞
「巡る楽園・四国八十八ヶ所から高野山へ」三好和義

[公募の部・一般] 写真文化賞
「隔たりのリズム」南島絵里子

[公募の部・一般] 奨励賞
「じいちゃんの田んぼ−讃岐 高松−」寒川真由美

第5回

[推薦の部] 写真文化賞
「地球巡礼」野町和嘉

[公募の部・一般] 写真文化賞
「ある女子高校の学校生活」若尾秀次

[公募の部・一般] 奨励賞
「穂高1500mの水」和田直樹

第6回

[推薦の部] 写真文化賞
「天地聲聞」ほか 竹内敏信

[公募の部・一般] 写真賞
「僧貌」大橋紀雄

[公募の部・一般] 市民奨励賞
「体温(ぬくもり)」大原悦子

[公募の部・小学生] 奨励賞
「はじめての雪遊びだ“ワン”」三浦幸輝くん
「雪の天龍峡」木下拓也くん

第7回
[公募の部・一般 市民奨励賞]
「いやんばいで」 筒井政美


受賞作品小論文

 

方言は、それぞれの地方に残る伝統文化であり、民話や民謡により現在まで語り継がれたり、唄い継がれてきている貴重な財産だと思います。

民謡や民話の中に出てくる方言や語りには、その地方独特のなまりや言い回しがあり、泥臭さと愛着を感じさせ、故郷を離れた人たちにとっては、懐かしく郷愁の重いが募るのではないかと思います。

私の住んでいる、長野県の南部を、京都から江戸へ通じる、東山道が通っており、交通の要所として栄えた伊那谷には、古くから「・・だに」「・・なあー」などの柔らかい言葉づかいが今でも残っていますが、話す言葉も標準化してきて、方言で話す話す人がだんだんとすくなくなって来ています。

「いやんばいで・・・」もそのひとつです。

わたしが、子供の頃には「いやんばいでございます」のやさしく温かな言葉、よく聞きましたが、今はまったく聞くことができない言葉になりました。

何気なく聞いていた、「いやんばいで・・・」言葉の意味がわかりませんでした。

古老に聞いてみると、「いいお日和で」、「いいおてんきで・・・」と行き交う人と交わした挨拶であり、また他人の家を訪問する時にも使った言葉だそうです。

この他にも「おっしゅくなりました」「おつかいでございます」等の言葉も聞いたこともありましたが、こうした方言も聞く事がなくなりました。

混住化と若者言葉に押され、古くから使われていた方言が私たちの地域から消えて行くことにさみしさを感じます。

失われてきている事と言えば、古くから受け継がれてきている、「結い」もそうではないかと思います。

昔は、「向こう三軒両となり」という言葉もありましたが、今は違います。「隣は他人、他所の事は知ることか」の世の中です。

困った時や、忙しい時にはみんなで助け合う、今はそんな光景がほとんど見かけなくなりました。

農家では、田植えや稲刈りなどに行ったり来たりしたものでした。今は、なんでも機械化され、人の手を借りずに自分だけで済ませてしまう。何ともさみしい世の中になりました。

最後に感じることは、私の住んでいる地域にも古くからの伝統行事や習わしがいくつも残っていますが住む人たちの高齢化や、過疎化による後継者不足で、存続を危ぶむ所や、やむなく中止した所もあります。

こうした伝統を継承していく事も必要ですが、忘れられて行く風景も、写真に記録として残し、後世に伝えて行く事も私たちの任務だと思います。

 


選評

 

四季折々の豊かな自然の美しさ、この地で生活する人びとの日常の様子が温かい目線でよく現されている。山村のごく普通の情景からほのぼのとした安らぎや、住む人の心の豊かさが伝わってくる。どの写真からも、共通して思わず目を細め口元がゆるんでしまう、これは一体なんだろうと考えた時に、作者の故郷に対する重いや至福感が作品に込められているからなのだろう。家畜や、果実、田畑そして空気感、自然と人との調和と共有、被写体との距離感も実に絶妙である。スナップ写真とは一線を画している。古から先祖代々伝えられてきた信仰と伝統の行事は今も受け継がれている。奇をてらったり、構えたりすることなく、愛するふるさとをごく自然で捉えた作者の写真から、どの情景からも愛を感じました。

選考委員 水谷 章人